太陽光で雨漏りはする? 国の施工基準で見る屋根材3種の防水

起こり得ます。国土交通省の瑕疵保険の施工・検査基準は、屋根を貫通する金具やねじの周り、防水シート、外壁を通す配線などに防水の処理を定めています。発生率の公的な統計は見つかりませんでした。

スレート屋根に設置した太陽光パネルのレールと支持金具を斜め横から見たイメージ
スレート屋根に取り付けた、太陽光パネルを支える金具のイメージ。※画像はイメージです。
目次
  1. 太陽光で雨漏りは起きるか 藤沢市も注意を呼びかけている
  2. 雨水はどこから入るか 屋根の層と金具の通り道
  3. 屋根材ごとの決まり 瓦・スレート・金属と陸屋根
  4. 工事の前と後 基準が施工者に求める4つの段階
  5. 新築10年の責任と、リフォームかし保険
  6. 設置したあとに気をつけること 点検・撤去・相談先

太陽光で雨漏りは起きるか 藤沢市も注意を呼びかけている

起こり得ます。藤沢市は太陽光の施工に関するトラブルの例として、パネル設置後に屋根から雨漏れが起きることを挙げています。ただし、発生率を示す国や自治体の統計は、本記事の作成時点で見つかりませんでした。

図1 藤沢市が挙げる、太陽光発電設備のトラブルの2つの型
販売に関するもの
例1行政を利用した不正確な説明
例2過剰なセールストーク
例3契約を急かす
施工に関するもの
例パネル設置後に屋根から雨漏れ
懸念施工不良による雨漏れ・建物の強度不足
藤沢市「太陽光発電設備を購入するなら… 事前の準備・調査を!」による。同市は、太陽光パネルの設置は任意で強制ではないとも明記している。

藤沢市は、太陽光発電設備の普及に伴い、販売や施工などに関するトラブルが問題になっているとしています。トラブルを防ぐため、設備の情報や防止の対策などの知識を持っておくよう呼びかけています。

雨漏りを防ぐ考え方は、国も示しています。国土交通省は2010年5月、太陽光パネルの住宅への設置による雨漏り等の不具合を防ぐため、施工・検査基準をまとめました。

この基準は、既存住宅の売買やリフォーム工事を対象にした瑕疵保険の施工・検査基準として作られたものです。同時に、国土交通省はパネルの施工業者にとっても雨漏りを防ぐうえで大切な留意点になると説明しています。

基準は、大学教授を委員長とする技術検討委員会で検討されました。国土交通省は策定に合わせて、住宅事業者等と保険法人の検査員を対象にした無料の講習会を、2010年6月〜8月(予定)に全国約10か所で実施すると発表していました。

雨水はどこから入るか 屋根の層と金具の通り道

屋根置き型のパネルは、屋根材と防水シートを通して、その下の垂木などに金具を固定します。国の基準は、この貫通部の周りと防水シートの傷を、防水を確保すべき場所としています。

図2 勾配屋根の層と、パネルを支える金具の通り道
パネル・架台
太陽電池モジュールと架台
架台を支持部材(金具など)に固定する
▼ 支持部材とねじが下の層を通る
屋根材
瓦・スレート・金属板など
雨じまい(一次防水)と防火のために屋根面に敷く
▼
下葺き材
防水シート
主に防水性の向上のため下地の全面に敷く
▼
野地板・垂木
屋根の下地と骨組み
支持部材は垂木や母屋に取り付ける
国土交通省「既存住宅の瑕疵担保責任保険 施工・検査基準(住宅用太陽電池モジュール設置工事編)」の用語の説明と、屋根置き型の設置方法による。

屋根材が雨じまい(一次防水)を受け持ち、その下に防水性を高める下葺き材が全面に敷かれています。パネルの金具はこの2つの層を通って骨組みまで届くため、基準は通した場所の止水処理と、防水シートを傷めないことを求めています。

基準でいう支持部材は、架台を屋根に取り付けるための支持金具・調整板・補強板などで、架台を固定する形に作られた支持瓦も含みます。基準は、これらの部材や接合部に、屋外で長い期間の使用に耐える材料を使うよう定めています。

図3 国の基準が雨漏りを防ぐ処理を定めている主な5つの場所
1支持部材の周辺・ねじの貫通部清掃とプライマー処理のうえパッキンやシーリング材で止水
2下葺き材(防水シート)傷めたら修復や増し張りで防水性能を確保
3屋根材・屋根下地変形や損傷が出たら交換などで補修
4外壁を通す配線下向きに曲げ、管は屋外側に下り勾配
5野地板を通す配線マニュアルで指定された止水処理
国土交通省「既存住宅の瑕疵担保責任保険 施工・検査基準(住宅用太陽電池モジュール設置工事編)」のⅢ.2-1(屋根材共通)と5(外壁貫通部の配線工事)による。番号は記事での整理のための通し番号で、順番を表すものではない。

雨漏りの原因は屋根の上だけではありません。パネルの電線を家の中へ引き込むとき、外壁や野地板に穴をあける場合があり、基準はそこにも防水の処理を求めています。

屋根材ごとの決まり 瓦・スレート・金属と陸屋根

国の基準は、瓦・スレート・金属屋根で金具の固定のしかたを分けて定めています。平らな陸屋根や、パネルそのものが屋根材になる型にも別の決まりがあります。

図4 勾配屋根の屋根材3種と、支持部材の取り付けの決まり
瓦屋根
固定垂木などに、確実に固定できる種類・長さ・本数のねじで
穴あき瓦貫通部と周辺をパッキンやシーリング材で止水
戻す瓦干渉部分を加工し、浮きがないことを確認
スレート屋根
固定垂木に直接ねじを締め付けるのが原則
防水テープ剥離材の剥がし残しがないことを確かめて張る
金属屋根
瓦棒葺き心木に直接ねじを締め付けるのが原則
横葺きはぜ等の段差にかからない位置に設置が原則
国土交通省「既存住宅の瑕疵担保責任保険 施工・検査基準(住宅用太陽電池モジュール設置工事編)」のⅢ.2-2による。スレート屋根は住宅屋根用化粧スレート、金属屋根は瓦棒葺き(心木あり)または横葺きが対象。

屋根材は設置環境や産地などで大きさや形が違うため、基準は屋根材に合った支持部材を選ぶよう求めています。瓦に穴をあけたり削ったりして割れや変形が出たときは、交換などで補修します。

瓦屋根で補強板を使うときは、複数の垂木にかかるように置き、それぞれの垂木にねじで固定します。複数の垂木にかけられない場合は、支持部材の間隔を詰めて1か所にかかる重さを小さくするよう基準は定めています。

図5 陸屋根と屋根建材型の決まり
陸屋根(RC・SRC造の露出防水)
重量基礎緩衝用ゴムシートを敷き、防水層の上に直接置かない
アンカー接着系あと施工アンカーを使う
防水層を貫通基礎を防水層に合った防水で覆い、端部を処理
屋根建材型(屋根の全面改修)
どんな型パネルが屋根材の機能を持ち、野地板の上に直接設置
事前の確認屋根の構造・勾配・下地処理に合う製品か
取り付け強度と防水性能が確認された方法で
国土交通省「既存住宅の瑕疵担保責任保険 施工・検査基準(住宅用太陽電池モジュール設置工事編)」のⅢ.3・4による。RCは鉄筋コンクリート造、SRCは鉄骨鉄筋コンクリート造。

陸屋根(RC・SRC造の露出防水)について、基準は3つを求めています。重量基礎は、緩衝用ゴムシートを敷くなどして防水層の上に直接置かないこと。防水層を貫通して基礎を固定する場合は、アスファルト防水やシート防水等で基礎を覆い、端部処理を行うこと。元の屋根の防水機能を損なう加工をする場合は、防水層の修復を行うなど必要な防水措置を施すことです。

屋根建材型には、屋根材にパネルを組み込んだ屋根材一体型と、パネル自体が屋根材として働く屋根材型があります。どちらもそれ自体が屋根材としての機能を備え、屋根の野地板の上に直接設置されるため、基準は製品が家の屋根の構造や勾配に合うかを事前に確かめるよう求めています。

工事の前と後 基準が施工者に求める4つの段階

国の基準は、工事の前に屋根の雨漏りや劣化を調べ、著しい劣化等があれば補修を計画に入れるよう求めています。工事の経過は記録し、発注者に書面などで報告することになっています。

住宅の庭の通路に立ち、太陽光パネルのある屋根を見上げる専門業者の後ろ姿
専門業者が地上から屋根の様子を確認する場面。※画像はイメージです。
図6 施工・検査基準が定める設置工事の4つの段階
1事前調査工事箇所に雨漏りや屋根材・構造躯体の著しい劣化がないか
2計画の策定著しい劣化等があれば補修を計画に含め、設置工事の終了までに補修
3設置・施工歩行などで工事以外の屋根材や防水層を傷めない
4記録と報告施工の経過を記録し、発注者等に書面等で報告
国土交通省「既存住宅の瑕疵担保責任保険 施工・検査基準(住宅用太陽電池モジュール設置工事編)」のⅡ.1〜4による。基準は、メーカーのマニュアルを参照して計画を作ることも求めている。

基準は、事前調査で雨漏りや著しい劣化が見つかった場合、パネルの設置工事が終わるまでに補修を行うとしています。見積りの段階で、屋根の点検をしたか、補修が要るかを業者に聞いておくと、基準の1と2を確かめられます。

工事の最中に、歩いた場所の屋根材を割るなど工事以外の部分を傷めた場合は、すみやかに発注者に報告し、補修などの対策をとるよう基準は定めています。基準はこのほか、住宅用太陽光発電システム施工品質向上委員会がまとめた「住宅用太陽光発電システム設計・施工指針」にもよることとしています。

工事のあとは、記録と書類を手元に残します。東京都環境局は、契約時の設計図面・仕様書、製品の取扱説明書・保証書、電力会社との契約書類を紛失しないよう保管することを勧めています。

新築10年の責任と、リフォームかし保険

新築住宅を供給する事業者は、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分の瑕疵に、10年間の瑕疵担保責任を負います。後からパネルを付けるときは、事前に家を建てた住宅メーカーや工務店へ相談するよう藤沢市は勧めています。

図7 新築住宅の責任とリフォームかし保険の違い
新築住宅
誰の責任新築住宅を供給した事業者
対象構造耐力上主要な部分・雨水の浸入を防止する部分
期間10年間
リフォームかし保険
どんな保険リフォーム時の検査と保証がセット
対象工事をしたすべての部分(設備機器そのものの瑕疵は対象外)
保険期間1〜10年(商品によって異なる)
免責金額10万円
国土交通省「新築住宅に関する法制度」「リフォームかし保険について」「保険商品(リフォーム瑕疵保険)」による。保険金は事業者に支払われ、事業者が倒産した場合などは発注者に支払われる。

藤沢市は、施工不良による雨漏れや建物の強度不足などが懸念されるとして、契約を進める前に家を建てた住宅メーカーや工務店に相談するよう勧めています。国土交通省は、雨水の浸入を防止する部分を10年の責任の対象として図で示しています。

国土交通省によると、リフォームかし保険では、施工中や完了後に保険法人の検査員(建築士)が現場を検査します。加入するには、保険法人に登録した事業者に工事を頼み、加入を依頼します。

保険金額は請負金額などにより100〜2,000万円で、填補率は事業者へは80%、事業者が倒産した場合などの発注者へは100%です。保険料は保険法人ごとに決まり、国土交通省は請負金額400万円のリフォーム工事で3万円程度としています。

新築住宅のほうは、保険に加入した事業者が倒産した場合等には、2,000万円までの補修費用の支払いを保険法人から受けられる仕組みがあると国土交通省は説明しています。後から付けたパネルの工事がこの新築10年の責任の対象になるかは、国土交通省の「新築住宅に関する法制度」のページには書かれていません。リフォームかし保険は設備機器そのものの瑕疵を対象外としています。パネルの不具合の扱いは、メーカーの保証書で範囲を確かめます。

設置したあとに気をつけること 点検・撤去・相談先

東京都環境局は、屋根に上る作業は専門の業者に頼み、設置1年後・5年後・その後4〜5年に1度の定期点検が推奨されていると紹介しています。パネルを外したあと、建物を解体せず住み続ける場合は、屋根の補修や防水処置が必要としています。

図8 東京都環境局が紹介する定期点検の時期
1年後
設置1年後の点検
販売店・工務店・メーカーなど専門業者に相談
5年後
設置5年後の点検
点検項目は設置年数や使用・故障状況で異なる
以降
4〜5年に1度
屋根に上る作業は専門の業者に依頼する
東京都環境局「住宅用太陽光発電設備を長く・大切に使うために」(令和7年1月)による。同資料は、一般的な住宅地では定期的に屋根に上って掃除する必要はほとんどないとしている。

雨漏りが疑われるときも、自分で屋根に上らず、専門の業者に見てもらいます。点検が義務かどうかの整理は太陽光の点検の記事、パネルを外す時期の目安は太陽光パネルの寿命で確かめられます。

図9 雨漏りや施工のトラブルの相談先
まず連絡する先
誰に販売店・工務店・システムのメーカー
備え連絡先を前もって確認しておく
住まいるダイヤル
どこ国土交通大臣指定の住宅の相談窓口
できることリフォームの見積書の相談、リフォーム工事のトラブルの無料対面相談の案内
消費者ホットライン
番号188
できること近くの消費生活センター等の相談窓口を案内
東京都環境局「住宅用太陽光発電設備を長く・大切に使うために」、国土交通省「リフォーム見積相談制度」「無料専門家相談制度」、消費者庁「消費者ホットライン」、藤沢市の資料による。住まいるダイヤルは公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターの相談窓口の愛称。

東京都環境局は、パネルを取り外したあと建物を解体せずに住み続ける場合は、屋根の補修や防水処置が必要になると注意しています。取り外しを頼むときは、屋根の補修まで見積りに入っているかを確かめます。

消費者庁によると、消費者ホットライン188は、地方公共団体が設置している身近な消費生活センターや消費生活相談窓口を案内する番号です。困ったときの相談先を、こちらで案内してもらえます。

藤沢市は、契約の前に複数の業者から見積りを取って比べることも勧めています。強引な勧誘を受けたときの断り方は訪問販売の記事、屋根の上の機器のつながりは太陽光発電の仕組みで整理しています。

数字についての注記
※保険期間・保険金額・免責金額・保険料は、国土交通省の住宅瑕疵担保履行法の案内ページにある目安です。実際の内容は保険法人と保険商品ごとに違うため、各保険法人の案内で確かめてください。
※雨漏りの発生率を示す公的な統計は、本記事の作成時点で見つかりませんでした。記事中に発生率の数字は載せていません。

よくある質問

Q. 太陽光パネルを付けた家は、どのくらいの割合で雨漏りしますか
雨漏りの発生率を示す国や自治体の統計は、本記事の作成時点で見つかりませんでした。国土交通省は2010年、パネルの設置による雨漏りなどの不具合を防ぐため、支持部材の固定方法や防水処理などの施工上の留意点を施工・検査基準にまとめています。
Q. パネルを外したら、屋根はそのままで大丈夫ですか
東京都環境局は、パネルを取り外したあと建物を解体せずに住み続ける場合は、屋根の補修や防水処置が必要になると注意しています。取り外しを頼む業者に、屋根の補修まで含めて相談してください。
Q. 雨漏りが起きたとき、どこに相談すればいいですか
まずは設置した販売店・施工業者に連絡します。リフォーム工事でトラブルになった場合は、国土交通大臣が指定した住宅の相談窓口「住まいるダイヤル」から、最寄りの弁護士会での弁護士や建築士との無料の対面相談を案内してもらえます。消費者ホットライン188は、近くの消費生活センター等の相談窓口を案内しています。

出典