川崎市の太陽光・蓄電池補助金 FITを使うかで金額が変わる

川崎市の枠は太陽光発電設備等設置費補助金です。FITを使わない設計なら太陽光7万円/kW・蓄電池10万円/kWh。受付は12月28日までで、9月9日時点の予算執行率は41%です。

二段に分かれた屋根に設置した太陽光パネルの全景
二段に分かれた屋根に分けて設置した太陽光パネル。川崎市の補助は出力2kW以上が条件になる(編集部取材の設置例)。
目次
  1. 川崎市で使える補助金の全体像
  2. たいせつ補助金は6つの区分に分かれる
  3. 補助金額は3つの数字のうち一番低い額
  4. 費用が下がっても、併用しても、②が動く
  5. 対象外になる条件を先に確認する
  6. 申請の流れは、4週間ずつ待つ形
  7. 期限と予算の残り、次に確認するところ

川崎市で使える補助金の全体像

出どころは「国」「神奈川県」「川崎市」の3層です。2026年9月10日時点で戸建ての申請を受け付けているのは、川崎市の枠だけになっています。

太陽光と家庭用蓄電池の補助は、国・県・市の3つに分かれます。3つとも窓口も締切も別で、申請すれば自動的にまとめて付くものではありません。川崎市の枠は「太陽光発電設備等設置費補助金」で、還元がポイントではなく現金という点が横浜市と違います。

図1 川崎市で使える補助金の3層構造(2026年9月10日時点)
DR家庭用蓄電池事業2026年5月29日に終了
1申請あたり上限60万円。戸建ての太陽光への国の直接補助は現在なし
▼ 別々に申請
神奈川県
住宅用太陽光発電・蓄電池導入費補助金第2期 9/7 受付開始→同日 締切
太陽光 7万円/kW + 蓄電池 15万円/台。同時導入が必須
▼ 別々に申請
川崎市
太陽光発電設備等設置費補助金4/24〜12/28 受付中
太陽光 7万円/kW + 蓄電池 10万円/kWh。還元は現金
国と県は予算に達して締め切られている。市の枠も先着で、予算額に達した時点で早期終了する。

国の枠は「DR家庭用蓄電池事業」でした。DRとは、電力の需要に合わせて蓄電池の充放電を調整する仕組みに参加することです。上限は1申請あたり60万円で、当初の締切は12月10日でしたが、公式サイトには2026年5月29日に予算へ達したため公募を終了したと掲示されています。

県の枠は太陽光7万円/kW、蓄電池15万円/台で、太陽光と蓄電池の同時導入が条件です。第2期は9月7日午前8時30分に電子申請が開き、当初の締切は9月30日でしたが、県の公式ページには同じ9月7日で申請額が予算額に達して締め切ったと掲示されています。

たいせつ補助金は6つの区分に分かれる

区分は太陽光2つ、蓄電池2つ、ZEH2つの6つです。FITを使うかどうかで、太陽光は7万円/kWと4万円の定額に分かれます。

図2 区分ごとの補助単価と限度額(個人住宅・2026年9月10日時点)
蓄電池FITなし太陽光と連系
70万円/件
10万円/kWh
ZEH+戸あたり定額
40万円/戸
定額
蓄電池FITあり/既設と連系
30万円/件
10万円/kWh
太陽光FITを適用しない
28万円/件
7万円/kW
ZEH/ZEH Oriented戸あたり定額
25万円/戸
定額
太陽光FITを適用する
4万円/件
定額
棒の長さは蓄電池の70万円を100%とした限度額の比。太陽光と蓄電池は設置費用の1/2までという条件も同時にかかる。出典:川崎市 申請の手引き~個人住宅編~(2026年9月10日確認)。

太陽光は出力2kW以上が条件で、FITを使わない区分はさらに50kW未満という上限が付きます。蓄電池は容量に単価をかけますが、使うのは定格容量ではなく初期実効容量(実際に充放電に使える容量)です。

図3 FITを適用するかどうかで変わるところ
FITを適用しない
太陽光7万円/kW・上限28万円/件
蓄電池10万円/kWh・上限70万円/件
出力2kW以上50kW未満
売電余剰買取方式のみ
その他J-クレジット制度への登録を行わない
FITを適用する
太陽光4万円/件の定額
蓄電池10万円/kWh・上限30万円/件
出力2kW以上
売電固定価格で10年間(出力10kW未満の住宅用の場合)
その他
すでに設置されている太陽光と連系する蓄電池は、右側と同じ上限30万円の区分になる。

FITを使わない設計は、発電した電気を自分の家で使う自家消費が前提です。市の補助は厚くなりますが、固定価格で10年間売る収入は前提にできません。補助の差と売電の見込みを並べて比べる話になります。

補助金額は3つの数字のうち一番低い額

単価に容量をかけた額、設置費用の1/2、限度額。この3つを計算して、いちばん低い額が補助金額になります。単価だけを見た金額にはなりません。

図4 補助金額の決まり方(手引きの例:FITを適用しない太陽光3.0kW・設置費用90万円)
① 単価×出力
7万円/kW × 3.0kW
21万円
② 費用の1/2
90万円 × 1/2
45万円
③ 限度額
区分ごとに決まった額
28万円
補助金額
3つのうち最も低い①
21万円
3つを比べていちばん低い①の21万円が補助金額になる。7万円/kW × 4kW = 28万円で限度額に達するため、4kWを超えて設置しても太陽光の補助は28万円が上限になる。出典:川崎市 申請の手引き~個人住宅編~に掲載された算出例。

この方式が効くのは、設置費用が小さいときです。手引きにはもうひとつ、同じ3.0kWで設置費用が30万円だった場合の例が載っています。①は同じ21万円ですが、②が15万円になるため、補助金額は15万円まで下がります。

費用が下がっても、併用しても、②が動く

3つのうち②は補助対象経費で決まります。設置費用が小さいときと、国・県の補助を併用したときの2つの場面で、この②が下がります。

図5 同じ3.0kWでも設置費用で補助金額が変わる(手引きの2つの例)
設置費用 90万円の例
① 単価×出力21万円
② 費用の1/245万円
③ 限度額28万円
補助金額21万円
設置費用 30万円の例
① 単価×出力21万円
② 費用の1/215万円
③ 限度額28万円
補助金額15万円
いちばん低い数字が補助金額になるため、費用が下がると②が効いて補助金額も下がる。出典:川崎市 申請の手引き~個人住宅編~。

国や県の補助を併用すると、この②の計算のもとになる金額が先に減ります。手引きには、本体購入費や工事費用(消費税額を除いた額)から国や県の補助金額を控除した額を補助対象経費とする、と書かれています。

図6 併用するときの計算の順番
1設置費用本体購入費と工事費用から消費税額を除く
2国・県の補助を控除受け取った分だけ対象経費が減る
3補助対象経費が決まる残った額が市の計算のもとになる
43つの数字を比べる単価×容量/経費の1/2/限度額
国・県から受け取った額の分だけ、市の②が下がる。3つのうち①や③がいちばん低いときは、控除があっても市の補助金額は変わらない。

同じ年度内に申請できるのは1度だけです。過年度にこの補助金を受けている場合は、限度額から過去の受給額を差し引いた残りが今年度の上限になります。

対象外になる条件を先に確認する

中古品、PPAやリース、2kW未満、登録事業者以外の施工、交付決定前の着工。ひとつでも当たると金額に関係なく全額が対象外になります。

図7 対象外になる条件と、満たしておく条件
対象外になる条件
設備中古品である
所有PPAやリースで申請者の購入品でない
出力太陽光が2kW未満
施工登録事業者が設置していない
時期交付決定通知書の受け取り前に着工
満たしておく条件
居住市内に居住、または居住予定の個人
蓄電池環境省のZEH化等支援事業の登録製品
連系2kW以上の太陽光と連系
使い方平時から充放電を繰り返す設備
納税納税証明書を提出できる
蓄電池は停電時だけ使う非常用予備電源では対象にならない。納税証明書は課税額証明書とは別の書類になる。

太陽光の補助を受けるには、市の「太陽光発電設備普及事業者登録制度」に登録された事業者が施工・設置していることが要ります。交付申請の時点で未登録でも、設置完了届の提出までに登録されていれば対象になります。

登録事業者は市が運営する情報サイトで検索でき、2026年9月10日時点で257社が掲載されています。施工会社を決める前に、その会社が一覧にあるかを確かめておく順番になります。

申請の流れは、4週間ずつ待つ形

交付申請から交付決定までが4週間程度、設置完了届から補助金額の確定までがまた4週間程度。工事はそのあいだに挟みます。

図8 申請から振込までの流れ
1交付申請オンライン・契約書や納税証明書を添付
2交付決定を待つ4週間程度・決定前の着工は対象外
3工事・事業完了既築は工事完了日、新築は引渡し日
4設置完了届完了から30日以内・オンライン
5補助金額の確定4週間程度
6請求書を郵送確定通知から20日以内・振込は申請者本人へ
申請はオンライン手続かわさき(e-KAWASAKI)から行う。差戻しの連絡は原則メールで届くため、登録したメールを確認しておく。

手続きは施工会社などに委任できますが、補助金の振込先は申請者本人の口座に限られます。書類に不備があると差戻しになり、そのぶん4週間の待ち時間が延びます。

期限と予算の残り、次に確認するところ

交付申請は12月28日まで、工事の完了は2027年1月31日までです。予算の執行率は9月9日時点で41%と公表されています。

図9 年度内に間に合わせる4つの期限
4/24
交付申請の受付開始
予算状況により早期終了の可能性あり
12/28
交付申請の最終受付
この日までに申請を出す
1/31
事業完了の期限
既築は工事完了、新築は引渡し
2/12
設置完了届の期限
完了から30日以内かこの日の早い方
1/31と2/12は2027年の日付。交付決定までに4週間程度かかるため、12月に申請すると工事の日程がかなり詰まる。

予算の執行状況は市の公式ページに掲載され、原則として毎週水曜日に更新されます。9月9日時点の公表値は全体の41%です。先着制なので、12月28日を待たずに予算へ達した時点で受付は終わります。

確認する順番は3つです。まず市の公式ページで予算執行率と受付状況を見て、次に施工を頼む会社が登録事業者の一覧にあるかを確かめます。最後に、蓄電池の型番が環境省のZEH化等支援事業の登録製品一覧にあるかを施工会社に確認します。

県の次の期が出るかどうかは神奈川県の制度の整理で扱っています。同じ県内でも仕組みが違う例として横浜市のポイント還元の記事も並べて読めます。県内の他の市町の状況は神奈川県の補助金・制度ページにまとめています。

蓄電池をどれくらい使えるかは蓄電池の寿命の記事にまとめています。FITを使う設計を選んだ場合、10年後の売電がどうなるかは卒FITの記事で扱っています。

金額についての注記
※本記事は 2026年9月10日時点 で公開されている制度の内容にもとづきます。制度は年度ごとに改定されます。
※いずれの制度も予算の上限に達した時点で受付が終了する場合があります。記事中で「受付中」としたものが、閲覧時点では終了していることがあります。
※実際の設置費用と補助額は、住宅の条件・選ぶ機器・施工会社によって異なります。記載の金額は制度上の単価や上限であり、受け取れる額を保証するものではありません。

よくある質問

Q. すでに太陽光がある家に、蓄電池だけを後から足す場合も対象になりますか
対象になります。既に設置されている太陽光発電設備と連系する蓄電池は、10万円/kWhで上限30万円の区分です。ただし太陽光の出力が2kW以上あることと、環境省のZEH化等支援事業に補助対象製品として登録された機器であることが条件になります。
Q. 契約や見積もりの段階なら、工事を始めても大丈夫ですか
交付決定通知書を受け取る前に設置工事を始めると対象外になります。判定されるのは契約日ではなく着手日で、新築建売の場合は住宅の引渡し日です。交付申請から交付決定までは4週間程度かかるため、工事の日程はその分を見込んで組むことになります。
Q. 神奈川県や国の補助金と一緒に使えますか
併用できます。ただし川崎市は、設備の本体購入費や工事費用(消費税額を除いた額)から国や県の補助金額を控除した額を補助対象経費とします。県から受け取った分だけ市の計算のもとになる金額が減るため、単純な足し算にはなりません。

この記事の用語

kW
発電設備の出力の大きさを表す単位。「4kWの太陽光」はこの値。パネル1枚は0.4〜0.5kW程度で、戸建てでは3〜6kWが多い。 用語集で見る
初期実効容量
蓄電池が導入時点で実際に充放電に使える容量。カタログの定格容量より小さい。補助金の計算にこの値を使う自治体がある。 用語集で見る
FIT
太陽光などでつくった電気を、国が決めた価格で一定期間(住宅用は10年)電力会社が買い取る仕組み。 用語集で見る
自家消費
発電した電気を売らずに自宅で使うこと。買う電気を減らせるので、売電単価より買電単価が高い今は有利になりやすい。 用語集で見る
交付決定
補助金を出すという行政の正式な決定。通知書の日付が基準になり、これより前に工事を始めると対象外になる制度が多い。 用語集で見る
DR
電力の需要と供給に合わせて、家庭の蓄電池などの充放電を調整する仕組み。国の蓄電池補助の参加条件になっていた。 用語集で見る
売電
発電した電気を電力会社などに売ること。単価は制度と時期で決まる。 用語集で見る
家庭用蓄電池
太陽光でつくった電気や夜間の安い電気をためて、必要なときに使う装置。停電時の備えにもなる。 用語集で見る
PPA
事業者が家の屋根に太陽光を設置して所有し、家庭はその電気を買う仕組み。初期費用がかからない代わりに設備は自分のものではない。 用語集で見る
定格容量
カタログに書かれた蓄電池の容量。実際に使える量(初期実効容量)はこれより少ない。 用語集で見る

出典